コラム① オフシーズンの過ごし方

11月も終わりが近づき、本格的に寒い季節となってきました。これから4月頃まで試合が無く、いわゆるオフシーズンと呼ばれる時期に入っています。オフシーズン=鍛錬期というイメージを持つ人は多く、練習内容は走り込み、筋トレが中心になりやすいです。「冬季練習」とよく言われるこの季節ですが、ただしんどい練習をたくさんしたところでそこまでの飛躍は期待できないでしょう。私自身、これまで10年以上陸上競技に取り組んできましたが、冬場の走り込みや筋トレ、補強等の練習量を増やした結果、翌シーズンで飛躍的に記録が伸びたという経験がありません。苦しい冬季練習を乗り越えた先で得たものと言えば、最低限出せる記録の水準が上がったことと、やっと練習が楽になるという喜びくらいでしょうか(笑)。もちろん、オフシーズンにハードな練習を行うことに対して否定をするつもりはありませんが、その考えでいくならば、「ハードな練習=オフシーズン」である必要はなく「ハードな練習=オールシーズン」でもいいと思います。練習量に対してしっかりと休養が取れればいいわけですから、試合が頻繁に行われるシーズン中でも練習量を落とす必要は特にありません。

少し話を戻したいと思います。私自身がオフシーズンを経て飛躍的に記録が向上したシーズンというのは、オフシーズンで技術的な課題の改善や新しい感覚を身につけた時です。つまり、「オフシーズンは試合がないのでがんがん練習できる」という考え方よりも、「オフシーズンは試合がないので記録を気にせずじっくりと技術改革に取り組める」という考え方を持った方が、充実したオフシーズンを過ごせるというわけです。ざっくりと言えば、自分の課題(新しく手に入れるべき技術や感覚、そのために必要な基礎体力等)に集中して取り組める時期ということです。

オフシーズンで自分の課題に取り組むには、当然ながら自分の課題を明確にしておく必要があります。そのために、シーズンの振り返りと来季の目標設定を行うのです。既に一部の選手には渡していますが、今シーズンを振り返って「どこが成長したのか」「何をもっとやらなければいけないのか」という点を明らかにした上で、来シーズンの目標から逆算した結果、オフシーズンに重点的に取り組むべき課題をはじき出すのです。そしてより詳しく、「〇月までにこれができるようになる」「〇〇までにこれを身につける」というようにオフシーズンの中でも細かく目標を立てることで、明確な目的、目標を持ってオフシーズンのトレーニングに取り組むことができます。その結果、シーズンに入ってから飛躍的に記録を伸ばすことができるのです。

これまで中学、高校、大学と陸上競技を続けてくる中で、本当に色んな選手を見てきましたが、伸びる選手と伸びない選手において一番差がつくのは、「目標設定と達成までの道のりをどこまで具体的にイメージできていて実行できたか」です。特に、高校生、大学生レベルでは、これまでの練習で身につけた技術から、改善や新しい技術を取り入れるというのは勇気のいることです。オフシーズンに技術を変えようと練習に励んだものの、一時的に記録が低下することに耐えられず、結局今まで通りのやり方に戻した結果、あまりシーズンに入ってから記録が伸びないという選手をたくさん見てきました。どこまで自分を信じて突き進めるか、シーズン目前まで粘って取り組む勇気があるか、もう一度自分に問いかけてみましょう。

オフシーズンは勇気と希望を持って過ごすことです。

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