コラム④ 自分を知る

お久しぶりです。

年末年始は子供から大人までいわゆる「休み」の状態が多くなります。きっと厳しい学校の部活も何日間かは休みになるはずです。また、年末年始で1年を振り返り、新年を新たな気持ちで迎える人も多いと思います。そういう意味ではアスリートにとっても年末年始の休みはとても大事なんだろうと思います。特にこの時期は冬季練習に入って約2ヶ月で冬季の3分の1以上が経過した状態にあると思うので、この約2ヶ月間を振り返るいい時期です。自分のプラン通りに進んでいるのか、今後の方針を修正する必要があるのかどうか、考えるといいと思います。全く何も考えずに練習している人、今からでも考えていきましょう。

ちなみに私は怪我で早々にシーズンを終えてしまったので例年より早く翌シーズンに向けた練習を開始していますが、プラン通りにやれているかというと半々といったところです。練習自体はイメージ通りにできていますが、それ以上に新しいイメージややりたいことがどんどん出てきて当初立てていたプランを変更していく必要を感じているからです。陸上競技を始めて16年程経ちますが、それでも毎年なかなかうまくはいきません。ただ、やりたいことが出てくると陸上がより一層面白くなってくるのは事実です。そこを子供達に伝えていけたらなあとは常々思っています。

少し話が脱線しましたが、自分自身が毎年難しいなと思いながら冬季を過ごしているということは、中高生にとってはもっと難しいことなんだろうなと思うのです。そういう意味でも是非この機会に自分のことをよく考えてほしいわけです。得意不得意は別にして、自分自身を客観的に見るという訓練はしていかなければいけません。指導や選手をしながら常に感じるのは考えて行動・練習ができない人は「弱い」ということです。この「弱い」というのは色んな意味でです。考えずに練習しても強い人はいますが、勝負どころで弱かったり、安定感がなかったり。何よりも考えている人は自分の弱さをよく知っていますから、そこを補う努力をするはずです。練習も、指導者側がどれだけ効果的なメニューを考えついたところで、結局のところ選手が考えて練習できるかどうかにかかっています。考えるように仕向けたり、考えないとできない練習を組むことはできますが、結局は本人が考えるということをしなければいけません。ここは誰も手出しができず、自分自身でやるしかありません。

最近イチローさんがこんなことを言っていました。

「今は厳しく教育することが難しくなり、先生たちより生徒の方が力関係が強くなってしまっている。厳しく教えることが難しい時代に、誰が教育をするのかというと、最終的には自分で自分のことを教育しなければいけない。そういう時代なのかと思う。」

まさにそうだなと思いました。我々も教える立場ですが、自分自身もその立場にいるんだという認識は持っていてほしいです。今の時代は、より一層自分自身と向き合うことが求められていると感じます。今、世界で活躍する日本人アスリートがたくさんいます。昔とは比べ物になりません。それも10代、20代にたくさんいます。印象的なのは、インタビューやコメントをみていると、とてもしっかりとした考え方や発言ができていて、言葉だけでは10代、20代には思えないくらいです。本当にみんな自分自身をよく理解しているなと感じますし、自律(自らを律する)しているなと思います。きっとそういう時代になったのでしょう。

トップアスリートを目指せとは言いませんが、せっかくしんどい練習をして翌年に記録を出そうと思うのなら、是非この休みの間にこれまでの自分自身を振り返り、新たな気持ちで練習に取り組む準備をしてほしいと思います。